
Hyakunin-Issyu No.98
風そよぐ 楢の小川の 夕暮は 御禊ぞ夏の しるしなりける 従二位家隆
風そよぐ 楢の小川の 夕暮は 御禊ぞ夏の しるしなりける 従二位家隆
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 蝉丸
百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり 順徳院
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな 右近
うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを 源俊頼朝臣
立別れ いなばの山の 峰におふる まつとし聞かば 今帰り来む 中納言行平
住の江の 岸による浪 よるさへや 夢の通ひ路 一目よくらむ 藤原敏行朝臣
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今一たびの 逢ふこともがな 和泉式部
誰をかも 知る人にせむ 高砂の松も昔の 友ならなくに 藤原興風
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも 阿倍仲麻呂